セラミックの歯から嫌な臭いがするとお悩みではありませんか?せっかく高額な治療をしたのに、臭いが気になるのは不安ですよね。
本来であれば、セラミックの歯自体は無臭の素材です。しかし、セラミックと歯の間に溜まる汚れや細菌によって、周辺からくさい臭いが発生します。
この記事では、セラミックの歯の周りからくさい臭いが発生する原因と、その対策について詳しく解説します。快適な口内環境を取り戻して、自信を持って会話を楽しめるようになりましょう。
セラミックの歯からくさい臭いは発生する?
冒頭でも触れましたが、セラミック自体は無臭の素材であり、くさい臭いの直接の原因ではありません。
セラミックは化学的に安定した不活性な材料で、適切にケアしていればむしろ口臭を防ぐ効果もあります。表面は金属と比べて表面が滑らかで、細菌が付着しにくい特性も持っているからです。
しかし、「セラミックの歯がくさい」と感じる方は少なくありません。この場合、汚れや細菌が天然の歯との境目やセラミックと歯茎の間に溜まっている可能性が考えられます。
セラミックの歯の周辺からくさい臭いが出る原因
セラミックの歯の周辺からくさい臭いが出る主な原因は、以下のとおりです。
- 歯垢が溜まっている
- 二次虫歯を引き起こしている
- 歯周病が進行している
- 被せ物が浮いている
- 接着剤が劣化している
- ハイブリッドセラミックが劣化している
- 金属アレルギーを引き起こしている
歯垢が溜まっている
セラミックの歯がくさいと感じるもっとも一般的な原因は、自らの歯の境目に溜まった歯垢(しこう,プラーク)です。セラミックの歯と天然歯の間には、肉眼では見えないほどの微細な隙間が必ずできてしまいます。
新しいセラミックでも0.1mm程度の隙間があり、通常の歯磨きだけでは汚れをすべて取り除くのは難しいです。ブリッジの場合は、ポンティック(人工歯)と歯茎の間も清掃が難しい部分となります。
こうして溜まった歯垢は、口臭の原因となる細菌の繁殖を引き起こします。その後、細菌は「CH₃SH」(メチルメルカプタン)という硫黄化合物を産生し、卵が腐ったようなくさい臭いとして感じるのです(※)。
二次虫歯を引き起こしている
セラミックの歯がくさいと感じる場合、見えない部分で二次虫歯が進行している可能性も考えられます。二次虫歯(二次カリエス)とは、以前治療した部位に再発する虫歯のことです。歯の内部が腐敗し、くさい臭いを発します。
セラミックと歯の間に微細な隙間ができると、そこから細菌が侵入します。隙間は暗く、湿った、酸素の少ない環境で、虫歯菌の好む条件です。そうすると、菌が繁殖し続けて酸を産生し、歯を溶かしながら虫歯が進行するという悪循環を引き起こします。
時間が経つとセラミックと歯の間の隙間は大きくなり、虫歯菌が入り込みやすくなります。また、小さな隙間は歯ブラシでは掃除できないため、気づかないうちに虫歯の進行を見逃してしまうこともあります。
歯周病が進行している
セラミックの歯の周辺からくさい臭いが出る原因となるのは虫歯の進行に限らず、歯周病の進行も考えられます。歯周病とは、歯周病菌によって歯肉が炎症を起こし、歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝、4mm以上)が広がる歯科疾患のことです。
歯茎の炎症からはじまり、進行すると歯を支える組織を破壊します。広がった歯肉ポケットに細菌が繁殖し、膿(うみ)が出て強い臭いを放ちます。なかでも歯間ブラシやフロスを使ったとき、膿の臭いを感じやすいです。
深くなった歯周ポケットはさらに清掃が難しくなり、細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。加えて、セラミックの歯の周辺で歯周病が進行すると安定せず、さらに問題の悪化を引き起こす可能性もあります。
被せ物が浮いている
セラミックの被せ物が歯にピッタリとフィットしていないケースも、隙間ができてくさい臭いを放つ原因になります。フィットしていない被せ物は、食べ物や細菌が入り込む隙間を作り出すからです。
この隙間に溜まった汚れは、正しいブラッシングでも取り除きにくいです。こうして隙間から侵入した細菌による二次虫歯は、土台の歯を弱らせます。また、歯周病の進行は歯を支える骨(歯槽骨)を溶かして、最終的に歯の喪失につながることもあります。
なお、セラミックの被せ物にも寿命があり、時間が経つとフィット感の低下を引き起こすこともあります。被せ物が浮いている場合は、早めに歯科医院で調整や再製作を検討しましょう。
接着剤が劣化している
セラミックの歯からくさい臭いが出ているのは、固定する接着剤(セメント)の劣化も考えられます。劣化した接着剤は隙間を生み、そこに細菌が侵入するといった具合に臭いの元を生み出してしまうからです。
セラミックの接着剤は、時間の経過とともに唾液の影響で溶けてしまう可能性があります。また、接着剤の硬化が不完全だったり、量が多すぎて溢れていたりする場合も同様です。こうした接着剤の劣化は目視では確認しづらいため、定期的な歯科検診での確認が重要です。
ハイブリッドセラミックが劣化している
通常、セラミックは劣化しにくい素材です。ただ、ハイブリッド素材、例えばレジンとセラミックの混合がくさい臭いの原因となることも考えられます。純粋なセラミックに比べて、レジンは経年劣化によって吸水劣化を引き起こすからです。
コンポジットレジンの論文(※)によれば、劣化したレジンと歯の間に微小な隙間が生じると指摘されており、細菌が侵入・増殖する可能性があります。また、吸水によってコンポジットレジンの表面が粗くなると、プラークや細菌が付着しやすくなるでしょう。
金属アレルギーを引き起こしている
最後に、金属を含むセラミックを使った治療により、金属アレルギーを発症したケースでもくさい臭いを引き起こす原因です。炎症によって口内炎や歯茎の腫れを引き起こし、強い臭いを放つからです。
現れる症状としては、口内の違和感、味覚の異常、舌の痛みなどです。こうした周辺症状があり、金属アレルギーを疑う場合は、金属を含まないセラミックへの変更を検討しましょう。なお、オールセラミックやジルコニアセラミックは金属を含みません。ただし、土台に金属を使っているということもあります。
セラミックの歯の周辺にできるくさい臭い対策
セラミックの歯の周辺にできるくさい臭いを解消するための対策には、以下のようなものがあります。
- 正しいブラッシングを身につける
- 歯間ブラシ・フロスを使う
- マウスウォッシュを活用する
- 歯科医院に受診する
- 口臭専門外来を受診する
正しいブラッシングを身につける
セラミックの歯の周辺からくさい臭いが出ている場合、対策の基本は正しいブラッシングとなります。対策としては、1日3回、食後に歯を磨くのが理想的で、セラミックと歯茎の境目を意識して磨くことが重要です。
なかでも朝食前や就寝前の歯磨きは、口内細菌を減らすためにも時間をかけて丁寧に行いましょう。もし、外出先で歯磨きができない場合は、うがいだけでも効果があります。
ただし、きれいにしたいと意識しすぎて、磨きすぎると歯や歯茎を傷つけかねません。セラミックの歯は天然の歯と同じように丁寧に磨くことで、臭いの原因となる細菌の繁殖を防ぎましょう。
歯間ブラシ・フロスを使う
歯間ブラシ・フロスも、歯磨きと同様にセラミックと歯の間の汚れを除去し、気になるくさい臭いを抑えられる道具です。歯間ブラシは小さすぎると効果が薄く、大きすぎると歯や歯茎を傷つけるため、自らの歯の隙間に合ったサイズを選んでください。
一方で、セラミックの被せ物の周囲にはフロスが有効です。歯と歯の間ごとに使用部分を変え、清潔に保つことが大切です。フロスはゆっくりと優しく使い、歯茎を傷つけないように注意しましょう。歯間ブラシ・フロスのどちらも使いすぎると、歯の間に隙間を引き起こすきっかけとなるので注意が必要です。
マウスウォッシュを活用する
マウスウォッシュは口内の細菌を殺菌し、セラミックの歯の周辺から出るくさい臭いを一時的に抑える効果が期待できます。歯磨きや歯間ブラシ、フロスのあとに使用すると良いでしょう。
なかでも、クロルヘキシジン配合のマウスウォッシュは殺菌力が高く、フッ素配合(900ppm程度)のものは虫歯予防になります。ただし、マウスウォッシュだけでは汚れは落ちないため、あくまで補助的な使用を心がけましょう。
なお、アルコール入りのマウスウォッシュは、口内の乾燥を引き起こすこともあります。口内が乾燥すると細菌も繁殖しやすくなり、かえってセラミックの歯からくさい臭いが出ていると感じるかもしれません。気になる場合は、避けておくと良いでしょう。
歯科医院に受診する
どうしてもセラミックの歯の周辺からでるくさい臭いが気になる場合は、歯科医院に受診するのも有効な手段です。3〜6か月に1回の頻度で受けるのが理想的で、歯科医師によるセラミックの状態チェックで早期に問題を発見できるメリットもあります。
歯科医院での専門的クリーニングは、超音波スケーラーといった専門機器を使用します。自宅では落としきれない歯垢や歯石を徹底的に取り除けるため、臭いの原因を除去可能です。また、歯面がツルツルになり、そのあとの汚れの付着も抑制されます。
口臭専門外来を受診する
一般的な歯科治療でくさい臭いが改善しない場合、口臭専門外来の受診も選択肢の1つです。口腔内だけでなく、胃腸の問題や鼻・喉の疾患など全身的な原因も検査し、くさい臭いの原因を特定できるからです。
口臭の原因は口腔内だけでなく、全身の健康状態が関係していることもあります。口臭専門外来では、口臭測定器を使った客観的な評価や、原因に応じた専門的なアドバイスを受けることができます。
専門的な知識を持つ医師による総合的な診断と治療を受けられるため、セラミックの周辺からでるくさい臭いが長期間改善しない場合は、専門医への相談を検討しましょう。
まとめ
セラミックの歯自体は無臭ですが、その周辺からくさい臭いが発生します。主な原因は、セラミックと歯の境目に溜まった歯垢や細菌、二次虫歯、歯周病、被せ物の不適合などです。
くさい状態が続く場合は、被せ物の不適合や二次虫歯の可能性があるため、早めに歯科医院で診察を受けることをおすすめします。西蒲田デンタルクリニックでは、セラミック治療後におけるメンテナンスや口臭でお悩みの方からのご相談も承っております。お口の健康と快適な生活のために、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
セラミックの歯は口臭がやばいですか?
「やばい」と感じるほどの強い口臭がある場合は、セラミック自体ではなく、二次虫歯や歯周病の可能性があるため歯科医院での検査が必要です。
セラミックの歯自体は無臭であり、適切なケアをすれば、むしろ銀歯よりも口臭リスクは低くなります。強い臭いを感じる場合は、セラミックの周辺のケア不足や、ほかの口腔トラブルが原因と考えられます。
セラミックの歯が臭いのはなぜですか?
セラミックの歯自体は、無臭です。セラミックの歯が臭うと感じる主な原因は、セラミックと歯の間の微細な隙間に溜まった汚れや細菌です。
二次虫歯が進行していたり、歯周病によって歯茎から膿が出ていたりする場合も臭いの原因となります。いずれにおいても、適切なケアと定期的な歯科検診で改善できることがほとんどです。
セラミックの匂いの対策は?
セラミックの周辺のくさい臭い対策としては、毎日の丁寧なブラッシングが基本です。なかでも、セラミックと歯茎の境目を意識して磨くことが重要です。
フロスや歯間ブラシを使うほか、マウスウォッシュを補助的に使用するのも効果的です。可能であれば、3〜6か月に1回、歯科医院での専門的なクリーニングを受けることも検討しましょう。
口からドブの臭いがするのはなぜですか?
ドブのような強い臭いは、主に歯周病や重度の虫歯が原因です。歯周病菌が産生する揮発性硫黄化合物(硫化水素やメチルメルカプタンなど)が特徴的な臭いの原因となります。
セラミックの下で進行する二次虫歯も、くさい臭いの原因になります。このような強い臭いがする場合は、深刻な口腔トラブルが隠れていることも想定されるため、早急に歯科医院での検査と治療が必要です。
セラミックの歯は息が臭くなる?
セラミックの歯自体は、息を臭くする原因にはなりません。むしろセラミックは汚れが付きにくく、適切にケアすれば口臭リスクは低くなります。
息が臭くなるのは、セラミックの周囲に汚れが溜まり、細菌の繁殖を引き起こすことが主な原因です。適切なケアを行えば口臭予防に役立ちますが、ケア不足やほかの口腔トラブルが残っていると改善は難しいです。定期的な歯科検診と適切なセルフケアで、セラミックの歯があっても快適な口内環境を維持しましょう。