「歯の治療で白いセラミックを使いたいけれど、費用が心配…」そう思ったことはありませんか?銀歯ではなく白い歯で治療を受けたい方、費用を抑えてセラミック治療を受けたい方にとっては、保険適用となってほしいところではないでしょうか。
セラミック治療の一部は2014年から保険適用となり、2024年6月からさらに適用範囲が拡大しました。そこで今回では、セラミックの保険適用がいつからはじまったのか、どのような条件があるのか、費用はいくらかかるのかをわかりやすく解説します。
歯のセラミック治療の保険適用はいつから?
歯のセラミック治療の保険適用は、2014年からはじまりました。対象となったのは、ハイブリッドセラミック(プラスチックとセラミックを混ぜた材料)を使った治療です。
この保険適用が実現した理由は、金属の価格高騰や金属アレルギー問題への対応でした。従来は、保険で治療できるのは銀歯などの金属材料のみでしたが、患者様の見た目への要望や健康面の配慮から、白い被せ物の保険適用範囲が段階的に拡大してきたのです。
なお、この記事では、可能な限りわかりやすく噛み砕いて保険適用について紹介します。報酬改定の正確な情報は、厚生労働省の下記ページをご覧ください。
2024年に保険適用の範囲が拡大
2024年(令和6年度)の診療報酬改定により、CAD/CAM冠(キャドキャム冠・コンピューターで設計・製作する被せ物)について保険適用の範囲はさらに拡大しました。
項目 | 改定内容 |
---|---|
第一大臼歯 | 保険適用の要件が緩和され、より多くのケースで使用可能になった |
第二大臼歯 | これまで適用外だったが、一部に保険適用が拡大した |
わかりやすく説明すると、これまでは前歯や小臼歯などに限られていた保険適用のセラミック治療ですが、2024年からは奥歯(大臼歯)にも保険が使えるようになってきたということです。
ただし、「全部が対象になった」わけではなく、「一部条件付きで適用拡大」という点には注意が必要です。
そのほかのセラミックは保険適用外
保険適用外となるセラミックの例は、以下のとおりです。
- セラミックインレー(一部除く)
- ジルコニアインレー
- シンプルジルコニア
- オールセラミック
- プレミアムジルコニア
- ラミネートべニア
あくまで、保険が使えないから治療を受けられないのではなく、自由診療でなら可能です。
つまり。「もっと見た目にこだわりたい」「精度や強度をとことん求めたい」なら自費治療、「なるべく費用を抑えて白くしたい」ならCAD/CAM冠やインレーで保険適用を検討、というイメージとなります。
保険適用となる歯のセラミックは2種類
現在、保険適用で受けられるセラミック治療の種類は主に以下の2つです。どちらもCAD/CAMシステム(コンピューターで設計・製作するシステム)を使って作る点は同じで、使い方が異なるだけです。
- CAD/CAM冠(被せ物)
- CAD/CAMインレー(詰め物)
CAD/CAM冠(被せ物)
CAD/CAM冠とは、歯全体を覆う被せ物のことです。主に、以下の特徴があります。
- 前歯・小臼歯・第一大臼歯・一部第二大臼歯に対応している
- 白くて目立ちにくい
- 金属を使わないので、アレルギーの心配がない
前歯や奥歯に限らず、「銀歯にしたくないんですけど…」という方には、このCAD/CAM冠が保険で対応できるかもしれません。
CAD/CAMインレー(詰め物)
CAD/CAMインレーとは、歯の一部に入れる詰め物のことです。こちらの特徴は、以下のとおりです。
- 特定の歯・治療方法に限り対応可能
- 自然な白さで、目立ちにくい
- デジタル技術(光学印象)で型取りできる
奥歯であっても銀歯は目立ってしまいやすいです。「奥歯の詰め物も白くしたいなぁ」という方の場合、条件が合えば保険でCAD/CAMインレーが使えます。
セラミック治療で保険適用となる歯の範囲
歯の部位 | 適用状況(保険) |
---|---|
中切歯(前歯) | 〇 |
側切歯(前歯) | 〇 |
犬歯(前歯) | 〇 |
第一小臼歯 | 〇 |
第二小臼歯 | 〇 |
第一大臼歯 | 〇(※要件緩和) |
第二大臼歯 | △ 一部保険適用(※拡大) |
第三大臼歯 | × 保険適用外 |
第一大臼歯は金属アレルギー等の要件がありましたが、令和6年改定で緩和となりました。この令和6年改定で、第二大臼歯は条件つきで拡大していますが、第三大臼歯(いわゆる親知らず)は依然として対象外です。
なぜ適用外?セラミック治療を受けるための条件
セラミック治療において、保険を使うには、以下の条件に当てはまる必要があります。
- 咬合支持(噛み合う歯の支え)があること
- 大臼歯に必要な強度が足りていること
- 金属アレルギーがある場合(医科からの紹介状が必要)
また、上顎の第一または第二大臼歯で分割抜歯(根の2本を残す治療)が行われた場合、残った2本の根が医学的に安定していれば保険適用可能です(下顎は不可)。
自己判断では、「治療を受けられるのに受けなかった」となりかねません。迷ったら、必ず歯科医院で相談してください。
セラミック治療で保険適用となった場合の費用相場
項目 | 保険点数(参考) | 自己負担3割の場合の目安 |
---|---|---|
CAD/CAM冠(被せ物) | 約1,200点 | 約3,600円 |
CAD/CAMインレー(詰め物) | 約300〜500点程度 | 約900~1,500円程度 |
光学印象(スキャン使用) | 100点 | 300円 |
セラミック治療全体では5,000円前後〜7,000円程度になることが一般的です。別途、診察料や技術料が加わります。
セラミック治療に限らず、保険適用の治療費は全国共通の「点数制」で決まっています。患者様が支払うのはその3割(70歳以上などは1〜2割)です。
保険適用のセラミックを選ぶ5つのメリット
保険適用のセラミック治療のメリットは、以下のとおりです。銀歯や自費治療と比較して、どのような利点があるのかを知る参考にしてください。
- 費用を抑えられる
- 金属アレルギーの心配がない
- 天然歯に近い審美性を実現できる
- 適度な強度で安心して使える
- 銀歯より変色しにくい
費用を抑えられる
自由診療のセラミック治療では、1本あたり5万〜15万円かかるのが一般的です。
しかし、保険適用となったCAD/CAM冠では、患者負担は約3,000〜7,000円前後がほとんどです(3割負担の場合)。 審美性と同時に、機能性も求めたいという方にとってのメリットとなります。
金属アレルギーの心配がない
銀歯などの金属材料は、長期的に使っていると金属アレルギーや歯茎の黒ずみの原因になります。
CAD/CAM冠は金属を一切使用しない白い材料(ハイブリッドセラミック)なので、アレルギーのリスクがほぼありません。「肌が弱い」「金属のネックレスでもかゆくなる」という方には、とても安心な選択肢です。
天然歯に近い審美性を実現できる
保険適用となるCAD/CAM冠は、銀歯のように目立たず、白く自然な色です。そのため、「人前で話す機会が多い」「笑ったときに銀歯が見えるのが嫌」という方に向いています。
プラスチックを混合したハイブリットセラミックの色の調整には限界があるものの、前歯や小臼歯であればパッと見で人工物と気づかれないレベルの自然さを保てます。
適度な強度で安心して使える
CAD/CAM冠は、先に触れたようにプラスチックとセラミックを混ぜたハイブリッド素材です。ジルコニアなどに比べて強度はやや劣りますが、通常の食事や会話には何の問題もない耐久性があります。
「奥歯の治療だけど、なるべく白い素材にしたい」という方には、バランスの良い治療といえます。
銀歯より変色しにくい
銀歯は経年で黒く変色したり、金属イオンが歯茎に沈着したりして黒ずみの原因になります。セラミックのCAD/CAM冠はそのようなリスクが少なく、見た目の清潔感を長く保ちやすい素材です。
歯茎が黒くなる仕組みや、気になる原因から対策までは、下記ページをご覧ください。
関連記事:歯茎が黒いのはなぜ?セラミックでも起きるの?黒くなる原因と対策を歯科医師が解説
保険適用のセラミックで気になる4つのデメリット
保険適用のセラミック治療で気になるデメリットは、以下のとおりです。
- オールセラミックより審美性が劣る
- 強度が自費治療のセラミックより劣る
- 長期使用で変色する可能性がある
- 選べる色の種類が限られる
オールセラミックより審美性が劣る
保険適用となるセラミックのCAD/CAM冠は、白さはあるものの、透明感・色の深みはありません。
遠くから見るとわかりにくいですが、近くになるほど知っている人からすると「人工の歯だな」と気づかれることがあります。一方、自費のオールセラミックは本物の歯と区別がつかないほどの自然さに仕上がります。
強度が自費治療のセラミックより劣る
セラミックのCAD/CAM冠は「日常使用に足りる」強度ですが、以下のような場合は注意が必要です。
- 奥歯で強い力がかかる
- 歯ぎしりや食いしばりがある
このような場合は、日常の使用によって破損や摩耗が早まりやすいです。ジルコニアやオールセラミックなどの自費で選べる高強度素材は、このような負荷にも耐える設計です。
長期使用で変色する可能性がある
ハイブリッドセラミックは、素材の中に樹脂成分(プラスチック)を含むため、お茶・コーヒー・喫煙などで、少しずつ黄ばんでくることもあります。これは自費のセラミック(純粋な陶材)にはない欠点です。
通常、天然の歯であれば黄ばみを見つけたときに「ホワイトニング」という選択肢を選べます。しかし、自費診療のセラミックを含め、基本的にホワイトニングの対象外となります。
選べる色の種類が限られる
保険適用のCAD/CAM冠では、標準的な白色のバリエーション数が少ないため、以下のような場合に課題があります。
- 元の歯が黄みがかっている
- 周囲の歯と微妙な色の違いがある
もちろん、天然の歯にできるだけ近くなるよう、丁寧に作られます。しかし、完璧に同じ色合いを再現するのは難しく、周囲の歯と完全にはなじまない可能性があります。
一方で自費では、より細かい測定や調整によって緻密な色調整が可能です。つまり、自費診療であれば、完全な色合いに近づけやすくなるのです。
セラミック治療でお悩みなら西蒲田デンタルクリニックへ
西蒲田デンタルクリニックでは、保険適用のCAD/CAM冠(ハイブリッドセラミック)から自費のプレミアムジルコニアまで、幅広いセラミック治療に対応しています。患者様お一人おひとりのご希望、そしてご予算に合わせて、最適な治療プランをご提案いたします。
当院では、なるべく痛みの少ない治療を心がけており、リラックスできる環境で安心してセラミック治療を受けていただくことが可能です。高額な自費治療の場合は、デンタルローンによる分割払いも利用可能です。
JR蒲田駅西口より徒歩3分とアクセスも良好で、24時間ネット予約も承っております。セラミック治療について詳しく知りたい方、保険適用の可能性について相談したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
セラミック治療の保険適用は2014年からはじまり、2024年6月にはさらに適用範囲が拡大しました。現在は、CAD/CAM冠とCAD/CAMインレーの2種類が、条件次第で保険適用での治療が可能となっています。
費用を抑えて白い歯での治療を希望する方にとって、保険適用のセラミック治療は有効な選択肢です。ただし、適用条件や審美性・強度には制限があるため、まずは歯科医院での無料相談をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
セラミックの歯は保険がききますか?
セラミックの歯は、ハイブリッドセラミック(CAD/CAM冠・CAD/CAMインレー)のみ保険適用となります。オールセラミックやジルコニアセラミックなどは自費診療となるため、保険は適用されません。また、保険適用には歯の部位や治療条件などの制限があります。
白い被せ物はいつから保険適用になったのですか?
白い被せ物の保険適用は2014年からスタートし、2024年に拡大しました。当初は前歯と小臼歯のみでしたが、現在は第一大臼歯の要件緩和や第二大臼歯の一部適用など、奥歯での保険適用も可能になっています。
保険適用の白い歯はセラミックですか?
保険適用の白い歯は、正確には「ハイブリッドセラミック」と呼ばれる、プラスチックとセラミックを混合した材料です。純粋なセラミック(陶材)ではありませんが、金属を使わない白い材料で、銀歯に比べて審美性に優れています。